リンジャ・メルサンディ・セレドの配信クエ、およびストーリー2.3範囲までのネタバレを含みます。
2.1以降のストーリーをプレイしていたときから、長らく疑問に思っていたことがありました。おそらく同じことを思っていたひとも多いかと思いますが、あくまで「大魔王によって作られた、別の次元に存在する偽物の世界」であるはずの偽レンダーシアで起こった出来事が、なぜか真のレンダーシアでは「過去に実際に起こっている出来事」になっているということです。
たとえば真メルサンディの棚にあった本。その物語にはプレイヤーである主人公の名前が出てきます。そして、それはかつて偽メルサンディで主人公本人が成し遂げてきたクエストそのものでした。
また、リンジャクエ最終話。「偽物の」世界に飛んだことで得てきた、メッセージの込められた宝石は、主人公自身に向けた過去からの伝言です(あのひとが主人公の直接の父親であるのかどうか?という考察は、今回の話題からちょっと逸れるし長くなるので割愛します)。
それに何よりも、勇者姫の覚醒。偽レンダーシアで起きた勇者覚醒の光。あれがレンダーシア以外の五大陸に降り注いだのはまぎれもなく過去だったはずです。各種族のはじまりの村で、それぞれの物語のはじまりに見てきたものとイコールだったのですから。
これに関して、魔幻宮殿で若干は触れられていました。
創生番号102の言葉です。
「霧に包まれた レンダーシアの地では
アストルティアから 切り離された影響ゆえか
外の世界との 奇妙な時間的ズレが生まれた」
けれど、これだけでは偽の世界の出来事が真の世界に本当にあった出来事として深くリンクしている理由がつきません。これとよく似た2つの世界を内包していたDQ6の世界、そちらにおいて夢世界は現実世界の人の精神の集合体(残留思念)でできていたためにお互いに影響しあっていた。それでは、このレンダーシアは?
と、考えていたところに。亡くなった絵本作家の孫娘であるアイリちゃんの書いた物語が動くことで村の物語が動いたメルサンディ配信と、死にかけることで偽セレドに来ていて、真と偽世界のどちらにも同時に存在する奇妙なことになった少年が出てくるセレド配信をクリアしたわけですが…。
また前振りが長くなりました。私の出した結論です。つまり「偽」とはいっても、大魔王が己の空想によってまったくのゼロから作り出した世界ではない、というのがその理由になってるのではないかということです。
「人間が創作した物語を 再現させた村」
「死者の魂を引き止め つなぎ止めた町」
創生番号039の言葉ですが、このふたつの場所の共通項に「死者」があります。
あの世とこの世。彼岸と此岸。偽りのレンダーシアはあの世そのものではありません。でも、死者というのはつまり「過去」のものです。思い出、追憶、そんな言葉で表現してもいいかもしれません。
その実在していた死者=過去というものを使ってひとつの世界として具現化したことで、あの偽りのレンダーシアは閉じられた「過去世界そのもの」と同じ存在になったということではないでしょうか。だからこそ、つくられた世界にすぎないはずなのに、真の世界とところどころでリンクしてしまう。嘘には真実を混ぜることでより本当らしくなる、なんていいますが、それと同じことが言えるのでは…?と。
要するに、創生番号102のいう「奇妙な時間のズレ」は、過去を現在にもってきた故の必然だったのです。となると、大魔王の行おうとしていることは、今ある現在という「真実」を、元あったものとは別の過去という「嘘」で書き換える作業…歴史改変なのではないでしょうか。
こう考えると、ブレイブストーンの力を借りることで自由に偽と真を移動できるのは勇者姫を除けば主人公だけ(事実、セラフィちゃんのことで他の人は移動できないというのがストーリー上でわかっています)というのも納得できます。あれは現在と過去の時空移動と同義なので、時渡りの力を持つ主人公にしかできないというわけですね。
これを裏付けるのが、真グランゼドーラの民家にいる人ではないかとひっそり睨んでいます。真グランゼドーラから外の世界に行っていたのが、戻ってくるときに偽の三門の関所で足止めを食らってしまい、グランドタイタス号が真世界と行き来できるようになったことでようやく戻ってこられた…というお父さんです。この人のお子さん、その父親が戻ってきたときに「パパってこんな顔だったかなー?」って言ってたんですよね。おそらくですが、偽と真の世界では時間の経過が違うために、本来過ごしていた時間よりも幾分ながら年老いてしまった…なんてことじゃないかと。
あと、偽りのレンダーシアの風景が全体にセピア調なのも、音楽がDQ7の過去世界の曲である「失われた世界」なのもこのせいかな…と思いました。あの世界が「(死者という)過去の具現化」であるのならば、世界すべてがセピアの写真におさめられた思い出であり追想録になるわけです。
幼さから来るほんの出来心で、「現在」を倦み「未来」という無限の可能性を自ら閉ざしてしまったリゼロッタ。同じく「現在」と向き合うことを拒み「未来」を捨てようとしていたセリクへの言葉は、「過去」になってしまった少女から、「未来」を持ち「現在」を生きる少年への叱咤激励だった…そう思うと、セレドの話はなお胸に来るものがありますね…。
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華果 由空(ゆそら)
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非公開
自己紹介:
DBとDQ(特に6)とクロノトリガーが好きです。
DQ10では見た目6主の「ソール」というキャラをメインにまったりプレイ中。
DQ10発売とほぼ同時期にサイト関連のファイルやメール合切の入ったPCが故障してしまい、ついったで細々呟いたりごくたまーにイベント参加するだけになった経緯があります。
ついったアカウントはこちら→ https://twitter.com/yusorak
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